「家庭裁判所調査官」という仕事


私は、2003年から2022年まで20年間、家庭裁判所調査官として働いてきました。

みなさんは「家庭裁判所調査官」という職業をご存じでしょうか?

このコラムでは、家庭裁判所調査官の仕事内容を紹介し、

私のバックボーンについて知っていただこうと思います。


家庭裁判所調査官というのは、「家庭裁判所」だけに配属される人間関係諸科学の専門家です。

そもそも裁判所というのは法律にのっとって問題を解決するところですが

「家庭裁判所」は、その中でも、家庭内の問題を一手に引き受けている裁判所です。

家庭内の問題は、法律的判断だけで決着をつけることが難しく

家族のこれまでの歴史や将来の見通しをふまえた解決が求められます。

問題の背景にある家族同士の関係性

自分の気持ちを十分表現できない子どもの立場なども考慮する必要があり

最終決定をする裁判官を補佐するため

人の心や家族関係に詳しい専門職が置かれることになりました。

そうして誕生したのが「家庭裁判所調査官」です。


家庭裁判所調査官は、採用後約2年間の基礎研修を受けます。

心理学、教育学、社会学、医学などの基礎知識習得

ロールプレイや演習形式の体験学習

実際の事件を担当しながらのケース理解、面接技法、報告書作成に関する個別指導を受け

家庭裁判所調査官として一人立ちするための知識と技術をみっちりと叩きこまれます。

基礎研修を終えて一人立ちしてからも

毎年さまざまなテーマの研修を複数回受け

節目の年には一定期間のスキルアップ研修を受けます。

並行して、日常的にベテランの主任調査官から個別指導を受けたり

同僚と切磋琢磨しながらさらなる向上に努めます。

人を相手にする仕事である以上

また、法律や世の中の家族観もどんどん変わっていくため

家庭裁判所調査官は常に学び続けスキルアップし続けることが求められます。

現状を的確に把握する力

問題を正しく分析する力

解決策を見出す力

説得力のある説明を行う力などはどれも大事ですし

また、法律や一般論では割り切れない

それぞれの人の想いに真摯に向き合うことも大切な姿勢だったと思います。

全国転勤が基本でしたので

三重県、高知県、岐阜県、神奈川県、長崎県、千葉県などで暮らし

都会でも地方でも働いてきました。

家族観や家族文化には地域色があることを肌で感じてきましたし

これまで関わってきた家族は数千組にのぼります。

このようにしてこれまで培ってきた知識、技術、経験を生かして

いま、カウンセラーをしています。

ひとりひとりと丁寧に向き合うことは、これまでと変わらず大切にしたいと思っています。